有森也実いまそかり

　2001年5月

（5/31）朝、会社で小便をするときに気がついた。トランクスの前後が逆。終日気分が悪かった。

(5/30)飲んでタクシーで帰るとき、どうでもいいのにナイターの結果や明日の天気、タクシーの売上の話などを運転手とする。少し酔っ払ってると独身なのに「いやあ、今日もカミさんに怒られちゃうよ」なんて見栄をはることもある。「お客さん、子供さんは？」なんて相手が合わせてくれると、「小遣いが少なくて大変」「先に寝てるかなあ」「結婚したときはこんなはずじゃあ」などと次から次に日頃所帯持ちの男性から聞かされてることを並べてしまう。つまりは早くそういう不自由な生活をしてみたいという願望の表れなんだろう。

（5/29）スーパーの食料品売場。「昔の麦茶」という商品名の麦茶パックが売られていたが、「昔ながらの麦茶」のほうがいいと思う。だって酸っぱそうじゃない。

(5/29)2週間に及ぶしつこい風邪がようやく治った。入れ替わりに職場の女性が高熱でダウン。5人から、おまえが風邪をうつしたんだろう、と言われてしまったが、うつるようなことはしてない。

（5/28）最近の学生はインターネットで就職情報をやりとりしている。先月、某有名サイトの掲示板に我が社の筆記試験を受けた学生が「今日名古屋で受験しましたが、試験官の方のお話がおもしろくて、こういう人がいる会社で働きたいと心を強くしました」と書きこんでいたそうだ。東京の人事部ではそういうサイトをチェックしていて、「名古屋のおもしろい奴って誰だ」と言っていたそうだが、それは間違いなく私だ。教室で問題用紙の配布と回収をする仕事で、本当は説明以外は喋ってはいけないのだが、「いやあ、私は間があくのが耐えられないもんでね、みなさん緊張してます？」などと始まる前に体験談など話して学生諸君を和ませていた。私が担当した教室から合格者が出たのかは不明だが、就職活動のいい思い出になっていれば嬉しい。

（5/27）知人が久屋大通りのフリーマーケットに出店するというのでのぞきにいく。初めてフリマを見たのだが、家の不用品処分、客とのやりとりを楽しむ、儲けは考えない、といった出店者がほとんどで見ているだけで楽しかった。古着が100円や200円、ガラクタ同然の雑貨が50円など世の中には売れないものはないんじゃないかと思わせる熱気だった。しかし、なかには必死に100円のものを50円に値切ったり、まさに生活をかけて買い物をしている貧相な老人やアジアや南米系の外国人が少なからずいて、その場を緊張させていた。一緒に見て回っていた後輩が最後に言った。「ここでならいたさんも売りに出したら売れますよ」。私は50円か！

（5/27）栄の街中。あゆみたいなファッションのキャッチセールスの姉ちゃん。ちょっとかわいい女の子に声をかけては、「『ViVi』とか見てますよねえ」とトークしている。「え、見てませんけど」「そうですかあ、見てるかんじですよお」などとやりとり。キャッチされた女の子も途中からまんざらでもなさそうな表情になっていた。多分相手によって『ＪＪ』『CamCan』と誌名は変えるんだろうけど『家庭画報』はないだろうな。

（5/26）混雑する地下鉄に乗りこんできた爺さん。車内を強引に掻き分け、譲れと言わんばかりにシルバーシートに辿り着いたのだがそこには彼よりさらに人生の先輩が3人座っている。突き飛ばされた周囲の客に冷笑されながら爺さんは吊革につかまるのだった。

(5/24)熱発から10日目、あとは咳と咽喉の痛みだけ。毎日たくさんの薬を服用している。考えてみるとその前までは花粉症の薬をのんでいたし、朝にドリンクを飲むことも多い。薬をやめたら健康になれると思うなあ。

（5/22）医者からアル中で肝機能障害と診断された友人がいる。彼の話を聞くたびに世の中酒に関して下には下がいるものだと思う。私なんてまだまだ酔っ払ってもいいんじゃないかとさえ思う。彼から4月にもらった愛すべきメールを紹介しよう。

(5/22)美術展の招待券が手に入ったので、飲み会で知り合ったコをこの2週間メールでずっと誘っていた。ようやくオッケーしてくれたと思ったら、「その日は夕方までならいいよ。それと、お友達も誘っていいかな」と付け加えてあった。おまえは子供か！ったく。「券はあげるから友達と行って来なよ」、と優しく返信しといた。

（5/21）熱が下がったからと出勤してみたが、地下鉄の階段を昇るとき、女子高生のパンチラを気にしないってことはまだ本調子じゃないな。案の定、咳が止まらなくなって結局午後から医者にかかることに。

(5/20)熱は微熱となったが咽喉の炎症で声が出せない。痛みをこらえれば出ることは出るが、昨日は生きていて初めて終日声を出さなかった。赤ん坊でも泣くわけだし、人と会わずに過ごしたときだって独りでぶつぶつ言うことぐらいある。メシはスーパーでサンドイッチを買うだけだから注文することもない。新聞や宗教の訪問勧誘も友人からの電話もなかった。競馬やナイターやドラマを見ながらテレビに感想をこぼすこともできなかった。口から先に産まれてきたような「ミスター禍の元」としてはうずうずしている。そして、今日もまた同じ状況、とこの文を書いていたら友人から電話がかかってきた。私が響きのないハミングみたいな頷きで応対していたら、不機嫌だと思われたのか切られてしまった。「いやあ今、声が出せなくてさあ」、と言いたかったんだけど。

(5/19)「最後までもつれた試合、締めたのは岡島！」と日本テレビのアナウンサーが叫ぶ。最後までもつれさせたのも岡島なんだけど。（私は巨人ファン）

(5/18)熱にうなされ目をこすりながら起きる。あ、就寝前に坐薬を挿入した指だった。

(5/17)高熱でダウンして3日め、職場から見舞いに行くから欲しいものを言え、と電話されたので「飲むヨーグルト」を頼む。そして買って来てくれたのは1リットルパック。うちに冷蔵庫がないって知ってるのに。ご好意を無駄にしないよう、頑張って半日で全部飲み干した。

（5/14）先輩♂の話。昨年離婚し、ワンルームに引越したばかりのとき、結婚仲介会社から電話がかかってきた。「失礼ですがご結婚されていますでしょうか」、と尋ねられたので「ええ、つい先日まで」と答えると相手は動揺して電話をきったそうだ。

（5/14）5/10（木）〜14（月）は東京滞在。東京出張⇒モー娘ミュージカル昼夜2回⇒競馬場⇒モー娘ミュージカルと充実の5日間だった。毎晩飲んでいたが、昨日の競馬仲間とのは激しかった。今年初、おそらく人に迷惑をかけた飲みではなかっただろうか。最後のカラオケで朝を迎えたのは私のせいだったのだろうか。途中の記憶がない。だいたいそういうときは翌日打撲している。どこで、なぜこの部分を。今日は右ひじと腰が青くなっていた。こういう奴が駅で電車にはねられるんだろうなあ。

(5/8)連休明けから役員秘書として新しい派遣社員が来る、秘書検定準１級の持ち主だ、というので連休中に本屋で実際の問題にチャレンジしてみた。サラリーマン7年もやってるし、ビジネスの常識ばっちり、小娘が受ける試験なんて簡単だろうとタカをくくっていたがこれがけっこう難しい。答え合せしたら不合格。こんな立派な資格を持った人なら安心して仕事が任せられると思っていたが当日になってドタキャン。彼が連休中にプロポーズしてくれて結婚することになりました、だあ？おいおい、社会常識が欠如してるじゃないか。

（5/7）帰り道、入社3年目の男がこのごろ酒に弱くなったという。「僕も年とったと感じますよ。」「おまえなあ、若いくせに何言ってんだ。それじゃあ、俺はどうなるんだよ。」「いたさんは若く見えるからいいじゃないですか。」うーん、若いと思ってるんだからいいじゃないですか、と言われるよりはいいか。

（5/6）地下鉄車内の結婚情報誌の広告「iモードで結婚相手を検索できます」。結婚相手を検索ってなんだよ、しかもそれで「Not Found」だったらどうするんだよ。

（5/4）金正日の息子国外退去のニュースを見て、「あのオッサン職場の○○さんじゃないか」「親戚の○○おじさんそっくり」と思った日本人多数。とても年下には見えんぞ。偽造パスポートまで作って入国して何がしでかすつもりだったかと言えば、東京ディズニーランドに行きたかったかららしい。何も大混雑確実なゴールデンウィークに来なくてもいいのに。

(5/3)『ちゅらさん』は視聴率は伸びないが私は毎朝見ている。。国仲涼子も新鮮な爽やかな演技だし、いい作品になりそうだ。朝ドラ主人公が私より年下の設定なのは『走らんか』以来2度目だと思うが、高校球児や力士が自分より年下になっていくときに感じる違和感がある。さて、今日は沖縄から出たことのなかったエリーが初めて大学受験で上京し、不合格だったにもかかわらず、東京に行きたいと家族に宣言する場面。「東京でやりたいことを見つけたい。東京には私を必要としている人がいる。」と涙ながらに訴える彼女の言葉に10年以上前の自分の姿が思い出された。初めて触れた大都会の刺激、何か求めるものがあるという期待、そして憧れのひとに会いたい気持ち。冷静に見れば、根拠に乏しい願望や推測でしかないなのだが地方に暮らす者にとって東京はいつの世も死にたいくらいに憧れる花の都なのである。4年ほど住めば現実に気がつくわけだが。

（5/1）地下鉄の車内、隣りにいる女子高生たちが楽しそうにしゃべっている。大きな声で会話が弾んでいるのだが、30歳のおじさんにはヒアリングが困難だった。単語、語法、発音、抑揚の全てにおいて、マジ何しゃべってんのかワカンナイかんじぃ。