ニシヘヒガシエ 〜これからもマックスと一緒に・・・〜

  6歳になったマックスは年明けニューイヤーS3着、東京新聞杯8着、高松宮記念取消。夏の休養後、セントウルS4着、スワンS9着、CBC賞13着。すでに栄光の勝利から丸3年、応援するのも疲れを感じ始めていた。

  6時起床、昨日床屋に行ったので襟元が冷たい。朝のホームできしめんをかきこみ、7時過ぎの新幹線に駆け込む。新大阪から仁川までの道も慣れたものだ。仁川駅前には白装束のオバサンが相変わらず元気に声を張り上げている。入場門までの道は来るたびに変化がある。将来的には雨でも濡れずに行けるようになるのだろうかいつも工事している。9時20分に到着。入ると阪神競馬場開設50周年記念オッズカードとカレンダーを配っていたのでたくさんもらっておいた。もうカレンダーの季節だ。今年は6つのカレンダー(アイドル、鉄道、競馬各2)を部屋に飾っていたが、来年はどうしよう。

  整理本部で横断幕の許可を得る。今日は名古屋から来た自分が一番遠いようだ。前回小倉のときは横浜から来た人がフェイマスケイのをはっていた。お姉さんがめんどくさそうにはってくれたシールを確認してパドックへ行くと半分まで埋まっていた。中央場所4場中最もはるスペースが少ないが、はろうという人もまた少ない。9時30分に警備員に紐の結び方を指導されながら無事1R前にはり終えた。今まで何度もやっているがこれほど親切に手伝ってくれたことはなかったと思う。ふう、と息を吐く。これで朝の仕事は終わり、横断幕をはる時ははり終えると気が抜ける。横で見ていた男が「マイネルマックスやて」「G1勝った馬やで」と話している。さて、いつもの場所に行こう。なぜか阪神では一人のことが多く、自分の場所を決めている。それは1階のとあるソファで競争率が低い。ところが今日は外が寒いせいかすでに満席で、違うところに席を見つけてなんとか座れた。

  今日は体調もよく、じっくりと検討できそうだ。1Rはこの1点だな、と思って穴場へ行く途中、ポケットをまさぐりながら歩いてきたおっさんが馬券を落とした。気づかずに歩いていくおっさん、周囲の人は気づいていない。おそるおそる拾うとこれから出走する1Rの馬券でワイドの4点500円ボックス。結果は私の枠連は1点的中し、おっさんのワイドも1点が的中、こいつは朝からついている。私には珍しく朝からアルコールを入れて喜んだ。

  しかし、このところ絶不調の私、続くレースを縦目、単で2着、と外しまくり。4Rでは頭にしたサイコーキララという馬が直線先頭に立ち、「サイコーです、サイコーです!」と周囲の人が白い目で見るほど叫んだがヒモを外した。障害レースを見送って1時間熟睡。午後もマジメに考えているのに連敗。やはり馬券はだめだ。マックスの応援馬券は単勝とワイド総流しにしておこう。馬連なんてどうせはずれるだけだ。10Rの返し馬が始まるころにパドックに陣取る。

  阪神のパドックは実に撮影しにくい作りになっている。バズーカ砲みたいなカメラならともかく、私のように全自動カメラやビデオカメラで記録しようとする者にはお手上げだ。それでも出てくるのを待つ。馬体重が発表されると前走と変わらず510キロ。新聞にはオーバーワークが心配なほど熱心な調教を積んでいるので絞れていると書いてあったのに。馬が出てきた。10Rを終えた人たちが押し寄せてくるが朝日杯が始まるとまたがらーんと静かになった。周回を重ねるうちにいつもの入れ込みが始まった。今日は今までで一番きつい。前を歩くレディボナンザが気になるらしい。かすかに残していた甘い希望をこの時点で諦めた、今日も回ってくるだけか。あまりのひどさに周りの失笑を買うほどだった。

  地下道から馬場に入る直前のウイナーズサークルのところで鞍上のデムーロ騎手を振り落としそうになり、最前列にいた女性から危ない、の声があがる。見ている私はいつもレース前に着ている朝日杯優勝記念ジャンパーを忘れてきてよかったと思った。恥ずかしい、今日のマックスは余りに恥ずかしい。それでも直線半ばの最前列でビデオをかまえる。さあ、スタート、やや後方につけ、3コーナー手前で楽な手応えであがって行った。なかなかいい感じだ。周りからマイネルや、の声がする。4コーナーまでくると先頭に立つ勢いで2番手に進出。後ろにいるグループが、おおマイネル来るで、と勢いづく。当然私も思い切りマックス、デムーロと叫ぶ。直線エイシンキャメロンをとらえて一瞬先頭に踊りでるがすぐ横からもう1頭突っ込んできた。マックス、の叫びも虚しく最後に差されたようだ。ああ、悔しい悔しい悔しい。直後に思ったのは悔しいだった。後ろからやったー取ったでー、マンシューちゃうかーの盛り上がり。しかし4歳以降、最後の最後まで叫べたのは初めてだったし、じわじわと喜びが込み上げてきた。良かった、すまんマックス、諦めかけた俺を許してくれ。この喜びを電話して友達に伝えたいのだが慌てて家を出たのでPHSを忘れてしまった。確定前にスタンドの中に入り、荷物をまとめる。配当を聞いたが馬連万馬券を逃したことは不思議と悔しくなかった。

   気分良く帰るために12Rは買わずに競馬場を後にする。今からまっすぐ帰れば6時過ぎには家に着くのだが体調もいいし、少し鉄道を乗りつぶしていこう。ほんとにいい一日だった。もちろん1着が一番いいがレース前の気分を考えると2着でも十分嬉しい結果といえよう。競馬場ではマックスが朝日杯を勝った馬だという話題があちこちで出ていたのも嬉しかった。G1ホースとはいえ勝ったのは3年も前、新しいファンにはこれでアピールできただろう。

  最後に祝福の電話、メール、書き込みをいただいた方々にお礼を言いたい。とりわけ、私と一緒に3歳のころから応援してくれている仲間には言葉では言い尽くせないほど感謝している。次は優勝を目指して頑張ってほしいし私も気合を入れ直して応援を続ける。「Get My Love 激しく  マイネルマックス」の横断幕と一緒に・・・西へ東へ。

11.12.13記

back.gif (3905 バイト)